乱れ咲き♂021


楽しそうに自分の父親と

ケータイで話し込んでいた
少女が

チラチラと私を見ている。


「ええええ、ええええ〜ッ」

少女は
不満そうな声を漏らすと

また私の方を見て。


「トーコは
もうオンナかッ!?」


おおきな声で
私に問い掛けてきてッ。


セイが
これ以上ないってくらい
爆笑した。


「はいいッ!?」

パパさんといったい
どういう話をしていて

そ〜ゆ〜展開に
なったんでしょうかッッ。

動揺から
私の顔も
真っ赤になってしまう。


「トーコはもう
立派なオンナだよな〜。

だって、俺が…」


「それ以上言ったら
殺スうううッッ!!!!!」


私は
セイの下アゴと上アゴを
押さえつけるッ。


「…ケンちゃんはッ

どうしてそんなコトが
気になるのかなッ?」


「パパがッ
オトナのオンナは
傍にいないのか、って
ほざいてるからッ」


少女はカラダを上下に
揺さぶりながら
不満の意を表していた。


「……」

…間違った日本語の使い方は

その都度、指摘して
訂正すべきなのだろうかッ。


「まあな。

電話に出てるのが
オトコばっかじゃ

父親としては気になるよな」

セイが
わかった風な口を利くッ。


「電話出てやれば?」

「……」


…嫉妬深いセイが

こんな寛容な態度を
見せるなんて

何だかすんごく
気持ち悪いぞッ。


私はセイの好意を
訝しく思いながらも


「ケンちゃん
ケータイ、ちょっと替わって」

「……」

少女は不服そうに
私を横目で見て。


「…おう」

パパに説得されたのか

しぶしぶ私にケータイを
手渡した。


「もしもし。
長女のトーコです」