自分では
けっして”長女”を
強調しているつもりは
なかったけれど


「長女、だってさ〜」

「チョウチョ〜?」


…からかわれると
さすがにムカつくッ。


『その声は
水族館でいっしょだった
オンナノコだね』

やわらかな
セクシーな声。

おだやかな落ち着いたトーンが
オトナのオトコだな〜、って
思わせた。


『あ、はいッ。そうですッ』

答えるこっちも
何だか緊張してしまう。


『あのときは
ウチの子が
いろいろ迷惑かけちゃったね』


このオトナの配慮ッ。

誰かさんとは大違いだッ。


私が
セイをチラ見すると

セイは
私が手にしていたケータイに
長い腕を伸ばしてきて

オンフックの
ボタンを押した。


…やっぱり
電話の内容が
気になるんですかいッ。


『さっき電話に出てた
セイくん、って

あのときの
綺麗なオトコノコだよね』


「…はい。そうですけど…?」