「おい、ダケンッ。
おまえ、一度見ただけで
よく折り方覚えてたな」
セイが
少女に絡んでる…けど。
あれ?
少女の手の中で
みるみるうちに
蓮の花が
出来上がっていって。
「ガサツな見かけによらず
器用なんだな」
って。
セイッ。
その言い方は失礼ですッ。
だけど。
その蓮の花は
子どもが創ったにしては
あまりにも
繊細に出来ていて。
「凄いでしょ。この子」
ジュナさんが自慢する。
「おまえらッ。
早く食って
その紙、よこせッ」
少女に急かされ
「折り紙なら
いっぱいあるわよ」
ジュナさんが立ち上がり
奥のクローゼットを開けた。
「『彼』も
目が見えないのに
器用に鶴を折ってた、な」
クローゼットには
たくさんの紙。
「おお〜う…♪」
少女はクローゼットに
駆け寄ると
背伸びして
クローゼットの中から
紙を無理矢理
引き抜こうとする。
「今、出してあげるから」
ジュナさんから
派手な柄の紙を受け取ると
少女は嬉々として
床に広げた。
「『彼』の為に用意した
折り紙用の紙を
この子が使う日が来るなんて」
ジュナさんは
目を細める。