『アイツは
周りを驚かすコトをするのが
好きだから
アイツが
変なコト言い出しても
ジョークだと思って流してね』
電話の向こう
パパさんが苦笑してる。
「ジュナさんがこの子を
連れ帰ろうかな〜、って
言い出してたんですけど
これも冗談、ですよね〜?」
セイが
私の持っているケータイに
強引に唇を寄せて
ヒメミヤ氏に話し掛けた。
『…アイツ
またそんなバカな話を
持ち掛けて…?』
「いえッ。
いかにもジョークって
カンジでしたからッ」
私は慌ててフォローするッ。
『…だったらいいけど』
「おたくの妹さん。
犯人かと見紛うぐらい
行動が怪しいですから
我が家としても
真に受けたり
してませんから〜」
安心してください、って
セイが
ヒメミヤ氏を
さらに挑発してッ。
『…怪しい?
アイツの行動が?』
ヒメミヤ氏の声色が
マジになった。
「だってそうでしょ?
警察の見解だと
今回の犯人は
少年画家の熱狂的な
ファンらしいですけど」
どう見ても
妹さんの言動は
『彼』の信者モノとしか
思えない、って
セイは
私からケータイを取り上げて
捲し立てる。
「ちょ、ちょっと
セイッ!」
セイから
ケータイを取り返そうとするも
セイの長い腕に
額をホールドされてしまった。
「うぐぐぐぐぐッ」
悔しいけれど
私の短い腕では届かないッ。
『…『彼』は』
セイの手の中のケータイから
ヒメミヤ氏の静かな声が
聴こえてきた。
『ジュナの
大事な幼なじみだからね』