ちいさい頃から
ずっと応援し続けていて

今も彼女にとって
大切なヒトだから、って


その声は
あたたかかい。


だけど。

自分の奥さんの
元カレなんかを応援する
妹を

こんな風に語れるのは
どうしてなんだろう。


どこか違和感がある…。


いったい
このヒト達の過去に
どんなコトがあったのか。

詮索する権利なんて
私にはないけれど。


『彼』のファンからしたら

どうしても
知りたくなっちゃうのも
わかる気がした。


「次ッ! パパと話すッ」

少女が
ソファーに座っているセイの
ヒザの上に登ってきて

大騒ぎする。


そのスキに

私はセイから
ケータイを取り上げて


「あ、失礼しましたッ。

もうそろそろ
お風呂が沸くのでッ。

はいッ
お任せくださいッ。

はいッ
伝えておきますですッ」


では失礼しますッ、と

私は強引に
国際電話を切り上げた。


「ああああああ〜!!!」

セイと少女が
抗議の声を揃えてあげる…。


…アンタ達ッ

とっても
息が合ってますねッ。


少女が
私に駆け寄ってきて

ジュナさんのケータイを
取り上げると

部屋の中に
教会の鐘の音が
鳴り響いて。

「おう?」

セイと
思わず目が合った。


「ジュナさんが
帰ってきた!?」