乱れ咲き♂030
「で、それは
どういう作戦なんだい?」
ニッタさんが
セイの次のコトバをせがむ。
「まあ、焦りなさんな、って」
セイは、そう言うと
みんなを
テーブルを囲むように
カーペットの上に座らせて
「まずは、みなさん。
落ち着きましょう」
少女に折り紙を配らせた。
「…落ち着きましょう、って
言われても」
折り紙を手に
皆が戸惑いを隠せない。
「ダケンッ。おまえ
みんなに蓮の花の作り方を
手ほどきしてやれ」
「手ほ〜きッ!?」
「…作り方を教えてやれ、と
言っているんだッ」
「ほほ〜う」
みんなが
セイの指示に従って
全てが
セイのペースで
進んで行こうとする中
少女がチョコチョコ、と
ブレーキを掛けては
セイの眉間に
シワを刻ませていてッ。
「ケンちゃん先生ッ。
どうやって
作ればいいのかなッ」
私はふたりの間に入って
機嫌取りを繰り返していた。
「……」
皆が少女に倣って
蓮の花を折り始める。
…こんなモノ。
何に使うのか
想像もつかないけれど。
誰もが
その行為に対して
疑問や不安を
口にしなかった。
セイの
卓越したその洞察力や
奇抜な発想は
もはや
ここにいる誰もが
一目、置かざるを得なく
なっている。
けど。
長年、セイといっしょに
育ってきた私とすれば
そんなセイを見ても
やはり、どうしても
安心しきれずにいて…。