拘置所に
あのオトコをいつまでも
入れっ放しにしておくワケには
いかないから、って
訴えている。
「…あのオトコなら
今、弁護士に
掛け合って貰ってるから
じきに釈放されると思うけど」
えッ!!!!?
「身柄を一度拘束して
逮捕状まで取ったオトコを
取り調べもせずに釈放なんて
あり得ないから!」
余りにも世間知らずな
セイのコトバに
婦人警官の声も
トーンも上がった。
「…オタクの署長さんと
釣り仲間の弁護士だし。
ホテル側にも
訴えを取り下げて貰ったから」
って
セイってば
いつの間にッッ。
「…アナタ。何者なの?」
婦人警官のそのセリフは
私が
口にしたいくらいですッッ。
「だけど。
釈放したのはいいけれど
その後を
どうするんだ?」
尾行をつけて
行動を見張らなくても
大丈夫なモノなのか、って
ニッタさんの顔にも
不安の色が
クッキリと表れていてッ。
「釈放された後
ヤツは
弁護士につき添われて
このホテルに
謝罪に現れる手筈だから」
えッ。
「…あのオトコが
自分の非を認めたりする
ワケがない…ッ」
セイの甘い判断に
おやっさんの声が
怒りに震えていた。
「来ますよ。
だってヤツはここに
このクソガキがいるのを
自分の目で
確認しているんだから」