「…この子
可愛いオンナノコが
苦手だから」
そう言いながら
ジュナさんは
ウチの姪っ子は
もっと可愛い、と
言わんばかりに
少女を
自分の膝の上に乗せて
ホッペを合わせた。
「そういう先輩こそッ
テゴ何とか、って言う
アイドルのオトコノコを
待ち受けに
してるじゃないですか〜!」
ニッタ刑事が
婦人警官のケータイを
取り上げて。
「うううううむうう」
少女の眉間に
さらに深いシワが寄る。
…美男子を
どうしても許せないのか。
「老いぼれッ!
おまえのを見せろッ」
少女の
その不愉快さの矛先が
おやっさんに向かった。
おやっさんに
ちいさな手を出して
ケータイを出せ、と
要求して。
和やかだったその場に
緊張感が走るッ。
「……」
おやっさんは
自分のケータイを
静かに
少女に差し出すと
「おお〜う…」
少女が
待ち受け画面を
食い入るように見て
「…くるくるの毛の
ワンちゃんッ」
う〜、う〜、っと
唸り出した。
「…そうだね。
『彼』の絵に出てくる
あの犬といっしょだね」
ジュナさんが
そう穏やかに笑うと
「この犬の
ねじり鉢巻きとお祭りハッピは
誰の趣味ですか?」
そうツッコミを入れながら
おやっさんに
ケータイを返した。