…世界屈指の名画に
描かれるような犬が
ねじり鉢巻きに
お祭りハッピだなんて。
犬をプレゼントした
『彼』も
あの世で
苦笑してるに違いない。
「とらっき〜ずの
ハッピですよね」
おやっさんは
あのプロ野球チームの
熱狂的なファンだから、って
ニッタさんと
婦人警官が笑った。
犬が苦手。
世話も面倒だ。
どうやって
接していいのかわからない。
と言いながら
自分なりに一生懸命
不器用な愛情を
注いでいたんだね…。
そう思うと
何だか
口の端も緩んでくる。
「ニヤニヤと
気色悪いヤツだな〜」
セイは
私の背後から現れると
「これッ。
もう要らないだろ?」
私の挫いた足首を
持ち上げてッ。
不意をつかれて
バランスを崩した私は
少女の硬いアタマに
自分の後頭部をぶつけて
ゴツッ。
…鈍い音がした。
「あうち…ッ」
外国人みたいな
リアクションをして
少女は
何もなかったように
再び折り紙に
向かい始めたのだけれどッ。
私は
目から火花が散るくらい
痛かったッッッ!
なのにッ!
原因を作ったセイは
何もなかったかのように
私の足首から
テーピングを外していてッ。
「なくても
もう大丈夫だろ?」って
私の足首をグルグル回すッ!!
「うぬぬぬぬうううう」
痛いけどッ。
打ちつけたアタマの方が
遥かに痛いと感じるのは
何故なのかッ。