セイは
昔からそうなんだッ。


自分が被害者なんだ、って
アピールするのが

とっても巧みでッ。


「何をする…ッ!」

「それは
こっちのセリフだからッッ」


「さっきからセイは
ワケのわかんないコトばっか
私達に強制してッ」

いったい
どういうつもりなのかッ。


「だいたい
この大量の折り紙は
何なのよッ」

「おたまじゃくしの集会所ッ」


「……」

セイの代わりに
どうして
少女が答えてるのかッ。


「ちゃんと作戦を
話してくれないと」

足を引っ張って
しまうんじゃないか、って

「正直、不安ッ!」


なのにッ。


「話したって

おまえが
指示通りに動けるとは

とてもじゃないけど
思えないんだが?」


むむむむむううううううッ。


「トーコはトーコのまま

トーコだけを
やってればいいんだよ」


「セイッ、あのね…ッ!?」

セイの膏薬くさい指が
私の次のセリフを遮って。


「…本日のビッグゲストが

ロビーに
今、到着したようだよ」

って

自分のケータイに
送られてきている

生動画を私達に見つける。


そこには

ギョロギョロ、と
目つきがやたら不愉快な
不精髭のオトコが

隠し撮りされていて。


その
落ち着きのない様子と
含み笑顔に

悪寒が背中を突っ走った。