乱れ咲き♂031
「よかったな。
人生初の主役だぞッ」
そんなモノッ
望んだコトなど
ありませんからッ。
「じゃあ、脇役として
ハダカのダンサーに
徹してくれるか?」
…セイってば
どうして
その二者選択しか
与えようとはしないのかッ。
「……」
私は不本意ながら
人生初の主役として
ワゴンを押しながら
エレベーターで
階下に降りる。
ふかふかの
カーペットの毛足に
おおきめの
クラシックな車輪が
軋んでいて。
重量オーバーかと
思われますッ。
ワゴンの上には
折り紙を入れていた
膏薬のニオイがする
引き出しが乗っかっていて。
引き出しの中には
大量の蓮の花と
時価500万円とおぼしき
おたまじゃくしに
「うほほほほ〜う♪」
…上機嫌な少女が1匹ッ。
セイに指定された
ラウンジに移動すると
「トーコッ。
もう終わりかッ!?」
物足りない、と
不満いっぱいに
ワゴンから降りるコトを
拒絶してッ。
悪目立ちし捲くっている
アナタの方が
どう見ても
立派な主役ですッ。
くすくすくす。
…痛い程の好奇の目。
まさかッ
新手のSM羞恥ゲームでは
ないだろうなッ。
ぷるぷる、と
掌に握っていたケータイが
メールの着信を
知らせてくる。