このご時世。
「アナタを
陥れようとしてますよ、って
オトコに書き込みで
知らせるヒトが
ひとりくらいいても
よさそうなモノなのに」
婦人警官のセリフに
セイがちいさく笑って。
「…いて欲しかったん
だけどね」
罪を憎んでヒトを憎まず。
どんな悪魔に対しても
「公正で公平な
自分でいられる
お節介なヤツが、さ」
ジュナさんに視線を向けた。
「アイツの
掲示板の書き込みに
反論はしなくても
みんなどれ程
ムカついていたか、って
コトだ」
アイツひとりが
複数の人間を装って
自分の意見に
自分でレスして
盛り上がってるだけ、だって
みんな、気づいてた。
わかっていても
さすがに
反論してくれるヒトが
いないと
不安になってくる。
「ここに集まってきている
信者のみんなだって
ジュナさん達と
同じように
不安で不安で
仕方なかったんだよ」
だから
怪しい書き込みだと
わかってはいても
真相を自分の目で
確かめたい、と
みんな
集まってきたんだろう
って。
セイのコトバを
ジュナさんは
ぼんやりと外を見たまま
黙って聴いていた。
だけど
ジュナさんの目には
ナミダが光っていて。
セイのコトバの真意が
ちゃんと
伝わっているんだ、って
コトは
私にもわかる。