夢の中

きっと『彼』は
恋しいヒメに
逢いたかったんだ、って

ジュナさんが
笑ってて。


蓮の花。

天に続く花畑。


「百花繚乱、乱れ咲き」


まさに
芸術家のやりそうな
オチャメ、だ。

って

セイが静かに同意する。


「…『彼』が許したんだもの」


私達が誰かを恨んだり
憎んだりするのは

おかしなコトだから、って

ジュナさんは
おやっさんに微笑んで。


その瞬間。

セイのポケットに
入っていた
ジュナさんのケータイが

電話の着信を知らせてきた。


「タイミングのいい
電話だな」

セイが
イヤミを飛ばしながら

ポケットから
ケータイを取り出すと


「公衆電話からの着信だけど」


ジュナさんに
ケータイを返却した。


「…もしもし?」


こんなタイミングで

こんな時間

公衆電話で
電話を掛けてくるなんて。


「…天国からの
電話だったりして」


その結論だけは
耳にしたくは
なかったですッッ。


「…アニキなのッ!?」


『もしもしじゃないッ!!

おまえ達、今、いったい
どこにいるんだッ』


ケータイから
怒声が漏れてきた。