少女の首から下げていた
数珠もどきに
指を掛け、引っ張って

「へへッ。
犬っころ、見たいだな」


なんてッ!

気色悪いッ!!!!!


私は
思わず立ち上がって

「あッ!!!」


ラウンジの出口の傍に
セイの姿を発見する!!!!


セイッッ!!!!!!


セイが
自分の手に持っていた
スケッチブックを
トントン、と叩きながら

私に見せてきて。


こっちに来い、と

長い腕で
優雅にジェスチャーしながら

出口の奥に
消えていくけどッ。


それはどういう意味
何でしょうかッッ。


この子も一緒で
いいんですよねッ。


でもッ、このワゴンは
どうするんですかッ。


五百万もの
おたまじゃくしが
入ってますけどおおおお
!!!!!!!!


なのにッッ!


「うほほほほ〜い!」

少女が
私の腕を振り切って

出口に向って
駆けて行ってッ!!!!!



自由人ッ!!!


こういうときに
勝手な行動はイケません、って

幼稚園やおウチで
習いませんでしたかッ!!!


「荷物、見張っててやるよ」

オトコの親切なセリフが
私の後ろ髪を
引っ張りますッッッ!!!!


アンタなんかを信用して

こんな大金を
預けるヒトがいるなら

見てみたいッ。


私はホテルのウェイターを
呼び止めたッ。


その瞬間!


私の手の中の
ケータイがバイブって

セイからのメールを
着信するッ。


【ワゴンは
そのままでいいから

走って来いッ!!!】