ちいさな部屋に辿り着くと

そこにはジュナさん達が
スタンバイしていて。

おやっさんと婦人警官が
窓から外を覗いている。


「マスコミとかが
正面玄関を張っているときに

様子を窺う為に
作られた部屋なんだってさ」


セイの説明する通り

その窓からは
正面玄関がよく見渡せた。


「まだこんなに
ヒトが残っていたんだ…」


ゆれるペンライトが

そこに集まっているヒト達が
『彼』の信者であるコトを
物語っていて。


「近所のビルから
見学してたヒトも

みんな正面玄関へ
集まってきたみたい」


「……」

これがいったい
何を意味するのか。


セイは部屋の電話を取って

どうやらホテルマンと
話をしているらしいけど。


「オトコが自分の
リュックや上着の中に

折り紙を隠し持って
ラウンジを出たらしい」

って

嬉しそ〜に
報告してきてッ。


「…あんなヤツに五百万ッ」

思わず愚痴も言いたくなるッ。


私のボヤキをかき消すように

ガヤガヤ、とヒトの声が
強制的に聴こえてきた。


「…あれだな」

おやっさんが
指さす方向には
街宣車が
何台か停まっていて。


人々が耳を押さえながら

街宣車のスピーカーに向って
何度も何度も
振り返っている。


「警備員のマイクの音声を
そのまま
流して貰ってるんだけど」


自分達の声がスピーカーから
聴こえてきているだけなのに

何を迷惑そうに
しているのやら、って

セイってば苦笑してて。


…いったい
何が起こるというのか。