「セイってば
ふざけ過ぎッッ!!!!」
私は
セイの引き上げたTシャツを
引き下げる。
「もう話すコトがないのなら
帰ろうよ」
これ以上は
つき合いきれないッ。
「ケンちゃん
コート着ようね」
私は少女に
コートを着せ掛けようとした。
「ダメよ。今は。
出るにしても
もう少し経ってから
じゃないと」
ジュナさんが
私の手を止める。
「そんなコト言って
足止めして
その時間で
俺達を懐柔して
説得しようと思っているのなら
無駄ですからね」
セイはキッパリと
ジュナさんの意見を
撥ねつけた。
「…本当に
今はダメなの」
ジュナさんは
ドアの前に立ち塞がって
ひたすら
私達が部屋から出るコトを
拒んでいる。
「犯人が近くにいるんだ?」
えッ。
「この部屋に帰ってくるときに
ロビーかどこかで
犯人を見かけたんじゃないの?
「……」
「そしてその犯人に
自分の姿を見られてしまった」
「……」
「どうしたの? 図星?」
「…ダミーの部屋を見て
私がいないってわかったら
見間違いだった、って
すぐに引き上げると思う」
「そんなに単純な犯人じゃ
ないだろう?」
…ちょっと待って。
セイとジュナさんの話を
聞いていると
「何だかジュナさんは
犯人を知っているみたいに
聞こえますけどッ」