「このガキは
このガキの家族や警察に

俺達の両親が
責任を持って預かる、と
約束してるモノでね」


これ以上
ウチの両親に
恥をかかせないでくれ、って

セイはジュナさんに
ダメ押しして。


「コートや幼稚園バッグは
どこにやったんだ?」


「おう!?」

少女が
セイのコトバに反応して

コートとバッグを求めて
部屋中を駆け回った。


「…あなた達

犯人が恐くないの?」


「恐いですよ」


犯人の顔が
見えないだけにね、って

セイが冷やかに
ジュナさんの問いに答える。


「だったら…!」

「だからこそ!」

このまま
見えない犯人に
脅かされてばかり、ってのは

性に合わない。


セイがジュナさんに
タンカを切る。


「…あなた達は

いざとなったら
警察を頼ればいい、なんて

安直なコト
考えているんでしょうけれど」


ジュナさんは
奥歯に何か挟まったような
言い方で。


「そういうジュナさんは

警察なんか
信用できない、って
言わんばかりの口ぶり、で」


セイも
一歩も引かなかった。