セイが
どうして
そんな大事なコトを
俺に報告しなかったんだ、って
言わんばかりに
私を睨んでてッ。
「それはッ
セイが訊かなかったからッ」
「ほおおお。
俺のせいにするってか?」
いえ、そんな
滅相もございませんッッ!
私は
アタマを左右に振って
セイに媚びた笑みを見せた。
「…こいつが
こんな目に
遭わされているのを
目の当たりにしても
それでもまだ
たったひとりで
こんな逃走ゴッコを
続けるつもりなんだ?」
「……」
「ヘリが炎上して
警察がこのホテルの中を
嗅ぎ回ってるってえのに
この子が
保護されてしまうかも、って
リスクは考えなかったワケ?」
「…見つからなかった
じゃない」
ジュナさんが
初めて
セイの詰問に答えた。
「それは結果論、でしょうが」
「……」
「俺がこのガキを
黙って連れ帰っても
よかったんだけど」
そんなコトして
誘拐だとか
のちのち騒がれても
面倒だったから
「ジュナさん
アンタが戻ってくるのを
こうして
待っていたワケだけどさ」
そんな配慮は
いらなかったみたいだな、って
セイがジュナさんを
挑発する。