「トーコ、コートあったぞッ!
コート、トーコあったぞッ!

トーコにコート?

トーコがコート???
おう???」


…こんな空気のときに

ヒトの名前で
コトバ遊びを始める
幼児が一匹ッ。


「おまえはちょっと
このコートねえちゃんと
遊んで貰っていろ」


…コートねえちゃんとは
もしかして
私のコトですかいッ!?


セイが
少女の両腕を掴まえて

ぐるん、ぐるん、と
容赦なく振り回すッ。


「…おう…ううう」

目を回してふらつく少女。


「ケンちゃんッ
大丈夫ッ!?」


「…ワンモア、プリッ」

少女が指を1本立てて

もう一回、と
リクエストしててッ。


…Мですかッ。


「ほら、コートの出番だぞ」

セイが無責任に
少女を私に託そうとしてッ。


「コートじゃないからッ
トーコ!!!、ですからッッ」


「コートが怒ってるうッ♪」

「……」


コート、コートとッ。


…しつこい子どもは
嫌われますからッ。


「ほら、コートねえちゃんに
存分にくるくるして貰え」


…しつこいオトコも
嫌われますからッッッ。


「ぐるぐる、しろッ!」

お嬢ちゃんッ。

それは命令ですかいッ。