乱れ咲き♂023
「…ホントだ」
隣りの部屋に
確かにヒトの気配がする。
「……」
セイは
テレビの傍に近寄ると
「隣りの部屋に
監視カメラあったけど
この部屋からは
見れないの?」
テレビの背面の
配線を覗き込んだ。
「あのカメラは
監視用じゃなく記録用」
ジュナさんが
野生の少女の手を取って
お風呂場に
連れ込もうとする。
「『彼』の制作過程を
映像として残そうと
プロの撮影クルーまで
雇って
撮影してたんだけどね」
ジュナさんは
私を手招きして
少女とバスルームに
隠れるように、と
指示をした。
「ほら、セイくん。
アナタも…」
ジュナさんは
テレビの前にいたセイの
ジャケットを引っ張る。
「…そんなトコ隠れても
スグに見つかるのが
オチでしょうが」
セイの言う通りだ。
こんなトコ。
それこそ真っ先に
確認されそうな場所だ。
「仕方ないでしょ!
この子は暗いトコロが
苦手なんだから」
「だったら
ヘタにこそこそしない方が
いいと思うけど…」
「いいからッ!
黙って、ここに入っててッ」
セイは
私と少女とともに
バスルームに
詰め込まれたッ!