ニッタ刑事と
おやっさんだけなら
この子がここにいるコトを
知られても
問題はないけれど。
「中から
カギが掛かっているね。
誰かいるんだよね?」
オジサン刑事の声が
グンと近づいてきて。
「……」
確か
ホテルのドアなんか
コインひとつあれば
簡単に開くんだよね。
「中にいるのは誰なの?」
オンナ刑事の声がする。
…このヒトが
犯人かも、って考えると
このドアは
やっぱり
開けさせるワケには
いかなくて。
だけど
ここには
バリケードを作れるような
家具もなく。
ガムテープだって
ありませんッッ!!!!
この子とここに隠れるのは
私ではなく
セイの方が
適任だったのでは
ないでしょうかあああああ。
「開けるよ」
ひええええええッ。
セイはいったい
何をやってるのよおおおお。
どうして
助け舟を出さないのよおおお。
私はひとり
パニックを
起こしていたというのにッ。
「中にいるのは
ウチのトーコですよ」
嫣然としたセイの声が
聴こえてきて。
…それは
もうどうしようもないと
諦めて
開き直ってしまったのか。