私にとって
こういうセリフは

それこそ
お宝同然の響きでッ。


社交辞令的
お世辞だとわかっていても
イッキにカラダが
沸騰するッ。


なのにッ

セイってば
シーツの裾を
大胆にまくり上げると


「もうすぐ
鬼達が探しにくるけど

見つかるなよ」


「おうッ!」

少女をすっかり
その気にさせて。


ドアのカギを開け

ひとりバスルームを
出ようとするでは
ないかッッッ!!!!!


「セイ…ッ!」

「しいッ」

おおきな声を出すな、って

振り向きざまに

セイが私の口を
自分の掌で押さえつける。


「あのオンナがひとりで

この状況を上手く誤魔化して
客人を追い返せるなんて

期待できないからな」


ちょっと加勢してくるよ、って

セイは
私の口を押さえつけたまま

オデコにチュッ、と
口づけて


あっという間に
この場を去っていく…。


「…あの。もしもしッ」


バスルームで
野生の少女とふたりきり。