案の定
早速
ヒマを持て余した少女は
私のジーンズを
何やらいじり回しててッ。
「お願いだからッ
ジーンズにデコってる
パーツだけは
ちぎらないでねッ」
「うほほッ♪」
「……」
私は仕方なく
自分の首に下げていた
手作りのネックレスを
シーツの裾を手繰って
少女に手渡す。
「カブトムシ色が
綺麗でしょッ」
なんて
我ながら
哀しい表現だったけどッ
お気に入りのジーンズが
被害に合うより
マシだった。
何が悲しゅうて
こんな事件に巻き込まれ
私はこうしているんだろう。
セイは
さも妙案のように
私にシーツを着せつけて
行ったけどッ。
冷静に考えてみたら
これって単に
私を困らせて
面白がる、ってゆ〜
いつものノリの延長では
ないのでしょうかッッ。
「おいッ。トーコッ。
このヒモ切れないぞッ」
シーツをたくし上げ
私の顔を
覗き込もうとする少女。
…かくれんぼは
もうお忘れですかッ。
「切ったら
バラバラになるから
切らなくていいのッ」
私の剣幕に
少女は不服そうに
唇を尖がらせて
シーツをカーテンのように
勢いよく閉めたッ。