…公園で会った
オンナの刑事さん?
どんな声で
どんなしゃべり方だったか
イマイチ思い出せないけれど。
「…女性で
警察の拳銃を持っている」
私の目に
血だらけの濡れたTシャツが
飛び込んでくる。
「まさか…ね…」
考えすぎだ、と
アタマの中に浮かんだ
”犯人”の文字を
必死に打ち消そうとしても
カラダ中に
鳥肌が立っていた。
「何で犯人が
こんなホテルのヘリなんか」
セイの質問にも
「アナタがあの少女を
連れ歩いているからじゃ
ないの?」
厳しく問い質してて。
「…あのガキなら
ウチの母といっしょに
家で留守番してますよ」
セイが
またひとつ
ウソをつき。
「お母さまに連絡したら
ジュナさんが連れ出したと
おっしゃっていたわよ」
「…犯人が
警察を名乗る
可能性だってあるので
母にはそう答えるよう
指示しておきましたから」
またひとつ
ウソを重ねた。
「犯人は
そうは思ってないようよ」
「犯人って
グループなんですか?
どうやって
ヘリを炎上させて?
周りのビルのどこかから
ライフルか何かで
エンジンを狙ったとか?」
セイは
オンナ刑事のペースを
嫌がるように
やたらと早口に
しゃべり捲くる。