セイが背後から
私に抱きつくようにして

また要らぬひと言を
しゃべり出しているッ。


「セイッ!
アンタは黙ってなさ…ッ」


「犯人がそんなに
甘っちょろいワケ
ないだろうが」

セイが
私の口を手で塞いでッ。


「ジュナさん。

アンタは
上手くこの場を切り抜けた、と
思っているかも
しれないけれど」


セイってば
回りくどい言い方で

ジュナさんを
明らかに挑発しているッ。


「犯人は

この部屋に
このガキがいるんだ、と
確信したから

早々に
この部屋を引き揚げたに
決まってるだろ」


って。

ちょっと待ってよッ!


私は
私の口を塞いでいた
セイの手を払い除けてッ。


「それじゃ
3人の警察官の誰かが
犯人だ、って

決めつけてるような
言い方だしッ」


憶測だけで
むやみやたらなコトを
言うモンじゃないッ。


ただでさえ

見えない犯人に
疑心暗鬼になっているで
あろうヒトを

これ以上
追い詰めてどうするんだッ。


「今の婦人警官さんだってッ
確かに怪しいけど

悪いヒトには
見えなかったしッ」


警察の拳銃持ってる
オンナのヒトは

あの婦人警官だけじゃ
ないからね!!


「…誰があの婦人警官が
犯人だなんて言った?」


「え」


「俺は元々
あんな出しゃばりなオンナ

興味はない」

って。

アンタのオンナの好みなんて
誰も聞いとらんわいッッ!!