ジュナさんが
窓の外を
複雑そうな笑顔を浮かべて
過去を懐かしむように
見つめたいた。
「この状況を知らせる為に
ニッタはわざわざ
電話を掛けてきた、ってワケ」
「ニッタさんが私に…」
少なくても
セイよりもニッタさんに
信用されているんだと
思ったら
ちょっと顔がニヤケてしまうッ。
「言っておくが。
ニッタは先に
俺のケータイだと思っている
トーコのケータイに
電話を掛けたようだけど
繋がらなかったらしい」
「……」
私のココロを読んだように
セイってば
そうつけ加えてッ。
「おまえ
ケータイを充電せずに
家を出ただろ」
うッ。
「父さん、ケータイなくて
不便してるんだろうな」
なんてッ。
意地悪のダメ押しだけは
勘弁してくださいッ。
「だけどッ
どうしてこんなに
ヒトが集まってきたり
したんだろうねッ」
私は話題を巧妙にすり替える。
「少女が『彼』の力を借りて
ヘリを炎上させた、って
今、ネットの掲示板が
大盛り上がりしているらしい」
って。
話題転換のネタにしては
いきなり
すんごい話に
なっていませんかッ。
思わず次のコトバを
失ってしまう。
ジュナさんが
自分のケータイを
取り出すと
「ああゆ〜掲示板へは
ケータイで
アクセスしない方がいいよ」
老婆心ながら、って
難しいコトバをつけ加えて
セイが
ジュナさんの手を止めた。