「だって、そうだろ?
同じ10円玉だって
正面から見たヤツにとっては
丸だけど
横から見たヤツにしたら
長方形にしか見えない。
違う?」
そんな曲ったモノの見方を
するコト自体
相当ヒネくれてると
思いますけどッ。
「ジュナさん
コヤツの意見なんて
少数派ですからねッ。
気にしないでくださいねッ」
私はそれ以上
暴言を繰り返さぬよう
セイのカラダを反転させ
ジュナさんに
背中を向けさせた。
「だいたいさあ。
事実誤認だ、って
世の中の人間全てに
自分と同じ視点を持てと
強制するコトは
傲慢だとは思わないのかねえ」
「黙りなさいってばッ」
「痛ッ」
セイは
私にお尻をツネられて
声を上げる。
「何すんだよ!」
「うるさいッ」
セイの言ってるコトは
いかにも
正論に聴こえるけれど。
「私だって
セイやパパやママのコトを
あるコトないコト
あんな風に
悪意いっぱい書き込まれたら
ジュナさんと
同じコトをすると思うッ」
「ハッ!
おまえに
言いくるめられるような
相手がいるなら
見てみたい!」
セイが大笑いした。
「…茶化さないでくれるかな」
事実と違うコトを
事実のように触れ回るな、って
ただしたいのは
モチロンだけど。
それ以上に
「自分の大切なヒト達に
向けられていた”悪意”には
やっぱり反発せずには
いられない、と思うからッ」