「だってそんなハズは…。

カメラを操作する為の
機材はパスワードがないと
動かないんだから…!」


「みんなが共有してる
パスワードなんて

案外簡単に
入手できるんじゃないの?」


「そんなワケないわ!」


ジュナさんが凄い形相で

今度は
高い天井から垂れ下がっていた
天幕を睨んで


「信用していた撮影クルーが

私達への復讐の為に
機材にパスワードを掛けて

そのまま消息不明に
なってしまってるのよ!!」


それ以来
機材は冬眠状態なのだ、と

ジュナさんが半狂乱になる。


天幕を掴んだかと思ったら

「ジュナさんッ!?」

ジュナさんは
イッキに天幕を
引きずり降ろして…!


「え…」


天幕が落ちた壁の
天井近くに

横長の窓。


その窓から
チラリ、と人影が
一瞬見え隠れして。


「誰かいるッ!!!!!」


「刑事さん達かなッ」

私は動転したアタマで
思いついたコトを
口にしたけどッ。


「警察じゃねえだろ?」


…そうだよね。

警察のヒトだったら
慌てて隠れたりしないよねッ。


「…アイツだった」

「え?」


「アイツが現れたんだわ」


ジュナさんが
顔を強張らせながら笑った。


「…ずっと
長い間、消息不明で

ウワサも
聞かなかったから


『彼』が死んだときに

てっきり
自殺でもしたんだろう、って
思ってたのに、さ」


「ジュナさん?」