さんざ『彼』を神扱いして
「『彼』がいなくなったら
この世から
太陽が無くなったのと
同じだなんて
入れ上げてたクセに、ね」
後追い自殺のひとつも
できなかったんだ、って
ジュナさんが大笑いする。
「…セイッ」
私は
そんなジュナさんの様子に
身を強張らせ
セイのジャケットを
無意識に掴んでいた。
「おバカのトーコにも
この状況の異常さが
よくわかったか」
わからいでかッ。
「おバカのトーコッ」
…ケンちゃん。
「その部分だけ
繰り返すのはやめようね」
緊張感を吹き飛ばす
この事件の中心人物
幼児Aは
私に貰ったネックレスを
ジャラジャラと
お数珠みたいに扱ってて。
その神経のぶっとさが
羨ましいぞッ。
「…これ以上
こんなトコにいるの
恐すぎだよ」
「まあ、どこに逃げても
一緒だとは思うけど」
「おうう!?」
セイは
私の”数珠”を少女の顔に
ぐるぐる巻きにして
オモチャにしてる。
「もう!
セイってば
ふざけてないで…」
私の訴えを遮るようにして
セイのポケットの
ケータイが鳴った。