セイはケータイの
画面を確認すると

ちらり、と
何故かジュナさんを見て


「…はい」

セイが
静かにケータイに出た。


「はい、そうです。
合ってます。

トーコのケータイです」


って。

その電話の主は
もしかして

「ニッタさんッ!?」


思わずそう
声に出してしまっていた私に

セイが

静かにしろ、と
目で牽制するッ。


だけど
どうしてニッタさんが…。


セイは

ニッタさんは
私ではなく少女の方に
興味があるんだ、って
言ってたけど。


案外、私のコト
気にいってて

心配して電話を
くれたのかもッッ。


なのに。


「今、トーコはトイレで。
ええ。

何か便秘気味らしくって。

はい。気張ってるんですけど。
ええ。ええ、はい」


って。

誰が便秘で
トイレで気張ってる

だとッ!?


「トーコは便秘なのかッ」

私のコートを
つんつん、と
引っ張る少女の口を

私は慌てて塞いだッ。


「んごごごご?」

「今、鬼から
電話がかかってきてるからッ

悪い子はいないか〜、って

ケンちゃんのコト
探してるのッ」


「んぼッ」

少女が
私のささやきに頷く。