私は足早に
セイが背中で押さえている
ドアを突っ切って

部屋の中に入ると。


「足、もう治ってるんじゃ
ねえの?」

って

笑いながら

私のすばしっこさに
感心していてッ。


何だかすんごく
バカにされた気が
するんですけどッ。


セイは
ドアストッパーを掛けると


部屋の真ん中のテーブルに
みんなを集めて。


折り紙用の綺麗な紙を
大量に運んできて

ど〜ん、とテーブルの上
みんなの中心に置いた。


セイはソファーの
私の横に腰掛けると

長い指で

綺麗な紙を
黙って折り上げていく。


「おほほほほう」

セイの正面のテーブル越しに
少女が両ヒザをついて

その様子を覗き込んでいると


「おまえも
集会所、増やすの手伝え」


蓮の花を折るよう指図した。

「おうッ!」


少女には不似合いな
甘いピンクの紙が

少女の手によって

ひとつ、またひとつ、と
蓮の花に生まれ変わっていく。


「…セイってば!」

本当に
こんなのん気に過ごしてて
いいのだろうか。