「この引き出しを
どっちがいっぱいにするか
競争だぞ」

「うほほッ!」


ふたり黙々と
折り紙競争を始めてるッ。


…集会所ばっかり作らせて

そのあとは
まさかのおたまじゃくし
投入ですかッ。


想像しただけで
恐ろしいッ。


だけど。

気がつくと
ジュナさんまでが

集会所作りに
没頭していてッ。


「……」

それはまるで


答えの出せない
八方塞がりの状態から

どこか現実逃避を
しているかのようで


どこか切ない。



「……」

私まで折り紙を手にして

鶴なんぞ
折ったりしてみたりして。


「…ずいぶん丸々とした
首の短いみにくい鶴だな」


セイの罵詈雑言に
思わず手も止まるッ。


「決められたことを

自分の好きなような解釈で
勝手にアレンジ
しちゃうのってさ

自我が強い証拠なんだってさ」


むむむむむッ。


「ほら
写経ってあるじゃない?

あれってさ

見本通りそっくりに
書き写して初めて

自我を捨てて
無の境地になる、って
いうじゃん?」


…そんなの
知りませんてばッ。


「はんにゃ〜ッ!」


少女が首から下げていた
”数珠”を
両手で擦り始めた。