乱れ咲き♂028


「確証もなく
そういうコトを軽々しく
口にするもんじゃないよ」


セイに疑いを掛けられて

余裕然としていた
おやっさん刑事の顔に

曇りが生じた。


「百歩譲って。

カモになるような車を
見つけて

覆面パトカーが
逃走車を
追い掛けたとしてもッ」


あの路地を通って
逃走するなんて


「そうそう
思い通りには
いかないと思うしッ」


私は必死で
おやっさん達
警察を弁護するッ。


「…トーコ。

おまえはいったい
誰の味方なんだ」


「だって…!」


セイの推理は

どれもこれも
絶対的な証拠がなくて


あくまでも
お話のツジツマが
合う程度のモノで。


おやっさんを
黙らせれば黙らせるだけ

何だか
事件とは直接カンケイのない
私達まで

とばっちりが
飛んできそうだ。


なのにッ。


「…セイくんの推理も

強ち見当違いなものじゃ
ないかもしれない」


なんて

ジュナさんまでッ!!!


「だって

あの事故現場の辺り
工事中だらけで」


あの児童公園に
辿り着くのだって


「おおきめの車だと
自然とルートが
限られていたから」


ジュナさんの証言は

セイの机上の空論を
リアルに肉づけしていった。