「工事のせいで
幼稚園バスの時間が
読めないから、って
几帳面なヒメのコトだから
きっと早めに
あの場所に来ていたと思うし」
ジュナさんは
少女に視線をやる。
「昨日は
幼稚園バスの待ち合せ
ママと
早くお家を出たんだよね?」
「おう?」
ジュナさんの質問に
少女の眉間にシワが寄るッ。
「ジュナさん。
幼稚園児に時計は
読めないかと…」
「トーコは
小学校に上がっても
デジタル時計が
読めなかったからなッ」
むむむむむッ。
「この子の家は
デジタルじゃないし。
この子は何かと
家の時計を確かめるのが
習慣になってるから」
幼稚園児のクセにッ
時計が読めるなんて
かわいくないッッ。
でも
そう言えば
「今朝、私が遅刻だと
焦っていたときに…」
「テ〜ン、オクロうッ」
少女が
小さな指を10本広げる。
「…そうだった」
確かに
この子は
時間を把握していて。
「ママとお家を出たのは
いつもの時間?」
ジュナさんが再び
少女に同じ問い掛けをする。
「幼稚園の先公がッ
今すぐ来いって
呼びつけやがった、って
ママが手を引っ張るからッ」
時計を見れなかった、って
少女は憤懣の思いを
ぶちまけたッ。
「今すぐ来いって?」