「この仕事をしていたら
そんな理不尽なコトくらい

山程あるわよ!」


「だけど

それが
自分の大切な女性だったら?」


え。


「正直言って

アンタと
ヒメミヤの奥さんが
過去の取り調べという線で
繋がるまでは

怪しすぎるとはいえ

まだどこか
自分の推理に
自信がなかったけど」


セイが再び口を開いた。


「看護師の彼女
『彼』から犬を貰ったって
言ってたよな?」

「……」


「その犬
今はアンタの家で
飼われてるんだよね?」

「……」


「彼女とは
元々顔見知り以上の
カンケイだったんでしょ?」

「……」


「だから余計

彼女の身の潔白を
証明したい、と
焦ってしまって

それが、結果
彼女を
追い詰めるコトになった」


セイは
まるで見てきたかのように
話しているけれど。


それはあくまでも
無責任な想像で。


「何を根拠に…ッ!」


ニッタさん達が
そう反論したくなる気持ち

私にだって
痛い程わかる。


「セイッ。
もうやめようよ!」


後のコトは
ニッタさん達に委ねて


「もう帰ろうよ。

ママとパパも
きっと心配してるから」


私は
セイのジャケットの
腕を引っ張った。