今もニッタ刑事達が
追いかけているという
元スタッフのあのオトコ!
「ヤツが落していった、と?」
セイの目が
キラリ、と光る。
「ウチの刑事の誰かが
落していった、とか
セイくんは
疑っているのかな?」
「……」
セイは
おやっさんの問い掛けには
答えずに
今度は
自分のポケットから
自分のケータイを取り出すと
「だってさ。
今の聴いてた?
ニッタさん」
いきなり
ケータイに向って
声を掛けた。
『ああ。全部
良く聴こえてたよ』
その返事は
オンフック状態にされていた
セイのケータイからだけでなく
ドアの外からも
聴こえてきて。
「ダケンッ。
ドア、開けてやれ」
「おうッ?」
セイの命令に
少女が
たったか、ドアに駆け寄って
イスを定位置に戻すと
ドアストッパーを
カチリ、と外した。
「ニッタさんッ!?」
ドアの向こうには
ケータイを耳に当てて
ニッタさんが
立っていて。
その後ろに
婦人警官の姿も見える。
「…おまえ達
犯人の追跡はどうしたんだッ」
おやっさんは
明らかに動揺していた。