「あのオトコなら
家宅侵入の現行犯で
そのままパトカーで
署に送りました」
「…どうしてッ!!!」
婦人警官の報告に
おやっさんは
語気を荒げる。
「捕まえずに尾行して
ヤツの行動を見張れ、との
指示でしたが
そうは
いかなくなりました」
「どうして
そんな勝手なマネを…!」
「ホテル側から
要請があったんだよね。
おね〜さんッ」
セイが
婦人警官に向って
妖しい視線を投げ掛けてッ。
「セイッ!
アンタ
まさか裏でッ!!」
「このホテルの支配人と
犯人を捕まえる為に
協力して欲しい、って
現場のホテルマンにのみ
話をつけていた
みたいだけど、さ」
この協力要請の話
「オーナーまで
話が上がってなかった
みたいでさ」
「セイッ、アンタッ!
ホテルのオーナーさんに
何を言いつけたのッッ!!」
「…聞こえの悪いッ」
セイは私を
横目でひと睨みして
「俺はただ
裁判の被告だった
あのオトコが
オタクのホテル内を
ウロついてますよ〜、って
オーナーの
プライベート・ナンバーに
直接メールをしただけさ」
どうして
ホテルのオーナーの
プライベート・ナンバー
なんぞ
日本の一高校生のアンタが
教えて貰えているんだかッ。
「ニッタさん。
例のモノ
オタクらの車から
持ってきてくれた?」