「ニッタさんってさ。

ホント、疑うコトを知らない
刑事にという仕事には
不向きな人間だと思うよ」


「…ふん」

おやっさんが
溜息とも返事ともつかない
声を漏らした。


「ニッタさんは
おやっさんの潔白を
信じていたからこそ

まんまと
俺の話に乗らされただけで」


こういう結果になるとは
夢にも思わなかったと
思うよ、って

セイはニッタさんに
視線を投げる。


「…おやっさんッ。

どうして…ッ!!!」


ニッタ刑事の声が
震えてて。



「ケータイで
聴かせた通りだよ。


裏を取るのは

アンタ達
優秀な日本の警察なら

お手のモノでしょ」


セイはクールに答えた。


「自分はこんなの
納得できませんッ!


第一、おやっさんが
こんなコトをする

動機が
ないじゃないですかッ」



…その通りだ。


おやっさんの様子を
見てる限り

『彼』の信者とも
思えない。


おやっさんは
ニッタさんの問い掛けにも
答えようとはせずに


ドアの傍
イスの上に腰かけて
足をブラブラさせながら
こっちを睨んでいる
少女を

ただ、見つめていた。