乱れ咲き♂029


「ケンちゃんッッ!!」


「おお…」

この世に
”ホンモノ”の銃なんて
存在しているコトすら
知らないであろう少女は

自分に向けられたソレを

キラキラと期待の眼差しで
見つめているッ。


だけどッ

「いい子だ。
動くんじゃないよ」

おやっさんの
その上から目線のひと言に

少女の眉間に
おおきくシワが寄ってッ。


「老いぼれッ。
エラそうにするなッ」

って

イスの上に
おもむろに立ち上がったッ。


両手を腰に当てててッ

…どう見ても
アナタの方がエラそうですッ。


だけど。

ぷっくり、と膨らました
真っ赤な少女の頬っぺたを

ぷに。

黒光りするソレが捉えると


「やめてええええええ!」

ジュナさんが
半狂乱の声を上げて


「おやっさんッ」

くすんだ黒銀の銃を
ニッタ刑事と婦人警官が

おやっさんに向け


イッキにその場が
MAXに緊迫するッ。


なのにッ


「M37!
エアーウエイトじゃん♪」


セイってばッ
ニッタ刑事達の銃を見て
ひとり興奮しててッ!


「セイッ、アンタねえッ」


私は思わず
セイのジャケットの襟を掴んで

その首を
締め上げていたッ。