そのちいさな手が

引き金に掛かっていた
おやっさんの手に触れるッ。


「ダメッ!
ケンちゃんッッ!!!!」


ぱくッ。

「…えッ」


…その光景に

私は思わず
我が目を疑った。


少女が
でっかい口を開け

あんむッ、っと銃口を
自らの口に押し入れてッ。


「水鉄砲じゃないから

そこから
水は出ないのッッ!!!!」


ジュナさんが
絶叫するッッ!!!!!


「ジュナさんッッ!!」

顔面から
すっかり血の気も引いて

蒼白になっている
ジュナさんのカラダを

私が必死で支えていると
いうのにッッッ…!!!


「やっぱりバカ犬だあ♪」


セイってば
お腹を抱えて爆笑していてッ。


少女の奇行より

セイッ!

私はアナタの
そのリアクションの方が

信じられませんッ。


「放しなさい…ッ!!」

「むうごッ!」


おやっさんの命令口調に

天の邪鬼にも

ガリガリ、と拳銃に
歯を立て始める少女に


「キバを研いでる♪
研いでるッ♪」

手を叩いて
大ウケしてるセイを

私は目で威嚇してッ。


「いい加減にしなさいッ!!」


私は
ジュナさんのカラダを
支えながら

もう片方の手で
クッションを掴んで

目の前のセイの
横っ面を張り飛ばしたッ。


…ハズだった。

のにッ。


「あ!!」

私の手を離れて

クッションよ。
おまえはどこへ
飛んでゆくのかッッッ!!!