その恐怖を
回避できた安堵に
「ジュナッ!
苦しいぞッ!!!」
ジュナさんは
少女のカラダを
力いっぱい
抱きしめて。
「…ヒメを中傷してた
自分のコトは
棚に上げておいて
ぬけぬけとッ」
よくもそんな計画を
実行できたモンだわね、って
おやっさんを責め立てた。
…ジュナさんの
言う通りだ。
罪のないヒトが
中傷されているのは
許せないけれど
罪深いヒトなら
中傷されて当然、とでも
言うのだろうか。
それは余りにも
勝手な理屈で。
「こんなちいさい
罪のない子の命を
奪おうとするなんて…!」
私は思わず
そう口走っていた。
「…別に、そのクソガキを
殺させるつもりなんか
最初から
なかったんだろ?」
え…?
「ちいさい子どもを
ひとり殺したくらいじゃ
たいした有期刑にはならない」
ヘタすりゃ2〜3年で
仮出所してくるコトだって
あるってコトは
「プロのアンタ達なら
周知の事実のハズだ」
「……」
だけど。
「民間人ではなく
職務中の警察官を
ひとり殉職させたら
そうはいかない」
仮出所は
まず認められないし
「相当な刑期を
食らうだろう、ね」
ケースによったら
無期だってあり得るかも、と
セイがゆっくりと
おやっさんの方に
カラダを向けた。
「まさか
おやっさん…!」
セイの指摘に
ニッタ刑事の顔色が変わる。