「アンタ。
あのオトコに
自分が殺されるつもり
…だったんでしょ?」
えッ。
「アイツに
このガキをこのホテルから
誘拐させるよう仕向けて」
信者達を煽り
「その騒動のどさくさに
自分を殺させる!」
セイは
右手で銃を作って
自分のコメカミに向って
バ〜ン、って
半分ふざけてみせた。
「…何、それ」
「さも、あのオトコが
用意周到に
幼女を略取、殺害しようと
したかのように
見せかける為に
こんな回りくどい
マネをしてさ」
少しでも長い刑期を。
間違っても
無罪になんかには
させはしない、って。
「まったく。
凄い執念だな」
セイが
ちいさくニヒルに笑った。
…定年が近いと
焦っていたのには
そういう意味があったなんて。
「おやっさん…ッ
そこまでしてッ!」
ニッタ刑事が
床に跪いていた
老刑事の背中を
掴んで大きく揺さぶる。
「そうですよッ!
あんな
くだらないオトコの為にッ」
命を投げ出すなんて
バカげてる、って
婦人警官が吐き捨てた。
「ホント。
もっと他に
天誅の下し方だって
あっただろうにさ」
って。
「セイッ。
アンタって子はッ!」
黙ってなさい、って
その辛辣な口を塞ごうと
腕を伸ばして
「いッ」
ソファーの上
私は無残にも
セイの下敷きにされるッ。