「…受験なんか
わざわざしなくても、さ」
「体育科の推薦枠なんて
そうそうあると思うなよ!」
「運動神経なら
誰にも負けない自信
あるもんッ」
「何の実績もない
スポーツマンに
いったい何の価値があると?」
「…見て貰えばわかるもんッ」
「どうやったら
見て貰えるんだ?」
もおおおおおッ!
「ああ言えば、こう言うッ」
「…それは
俺のセリフだと思うのだが」
「……」
「同じおバカでも
おまえの親友のナンノとやらは
全日本の合宿に参加するって
言うじゃないか」
セイってば
どうして
1年生のナンノを
引き合いに出すんだか。
「…ナンノは部活の他に
ちいさい頃から
有名なクラブチームに
入ってるしッ!!」
合宿のコーチが
クラブチームのコーチだしッ。
私とは立場も環境も
おおきく違う。
「なら、どうして
おまえもそのクラブチームに
入ろうとはしないんだ?」
「……」
「おまえと違って
みんなちいさい頃から
新体操をやってきたような
ヤツばっかりだから?」
…わかってるんなら
わざわざ私の口から
言わせないで欲しいッ。
「…セイってば
意地悪だ」
「新体操で身を立てる気も
ないんなら
諦めて勉強するコトだ」
セイが
溜息をつきながら
ホットコーヒーに
口をつけた。