セイってばッ
自分の指に絡めて取った
黄色いカラシを
容赦なく
私の鼻に擦りつけるッ!!!
「ひいいいいいいいいッ!!」
目からナミダッ!
鼻からハナミズッ!!!
絶叫も声にならないくらい
シミ捲くるッ!!!!
ケホッ。コホコホッ!
自分の指をティッシュで
拭きながら
咳込む私を
当然の報いだ、と
言わんばかりに
冷やかに見ているアナタは
まるで
「…ックマ!」
ケホコホッ。コホホッ。
「…りらっ熊?」
「悪魔ッッ!!!!」
なんて
怒鳴り返した瞬間
私の鼻から
ハナミズが飛び出してッ!!
「…うわッ。
汚ね〜。糸引いてる…」
セイが2本の長い指で
箱から摘み出した
ティッシュを奪って
ちーんッ!
私は
思いっきり鼻をかむッ。
「…百年の恋も冷めるな」
って。
誰のせいじゃいッッ!!!
そのお綺麗な顔に
ハナミズ擦りつけて
やりましょうかッッ。
ああ。
カラシのせいか
悔しさのせいか
ナミダが
ポロポロこぼれますッッ!
「ほらほら。貸してみろ」
自分の顔も
ちゃんと拭けないのか、って
セイが
私の座っていた学習イスを
くるん、っと反転させて
「ほら、ち〜ん」
私の背中から
手を回してきた。
セイが私の左肩越しから
私の顔を覗き込んできて
ぐしぐしぐしッ。
「痛いッ。痛いよッ、セイッ」