「セイ…わたッぐッ!!!」


私の返事を遮るように

セイが
私のちいさな鼻を
セイはティッシュで
強く摘んでッ。


「毎晩、俺と子作りレッスン」

はい…ッ!?


「新体操部の
合宿よりハードだぞ」

もしもしもしッ?


「…俺も何かと
忙しい身なんだが

トーコが望んでいるのなら

オトコとして
きちんと応えてやりたいと
思ううううううううう」


…気がついたら

私は本能的に
セイの憎ったらしいその口を

左右に
思いっきし引っぱっていてッ。


「いやッ、その前に
行儀見習いに出すべきか…ッ!」


セイが堪らず
私の学習イスの背もたれを

その長い足で蹴り押した。


くるんッ、と
学習イスが回転して

セイと正面に向き直るッ。


子作りレッスンに
行儀見習いの

いったいどこが
花嫁修業だというんだかッッ!


「花嫁修業って言ったら

炊事、洗濯、掃除と
相場が決まって
いるでしょおおおおお!」


「…俺、好き嫌い多いから

料理なんか覚えて貰っても
仕方ないんだけど」


…だったら
好き嫌いをやめんかいッ。


「掃除も洗濯も

優秀な洗剤と
白物家電があれば

充分だろ?」


「……」


「むしろ
税金の計算や帳簿をつけ方を
覚えてくれた方が

俺の嫁としては
ずっと
ありがたいんだが?」