スプリング♂002


「昨夜はセイ。

本当に
帰って来なかったんだ…」


朝、セイの部屋を覗いても
部屋の主の姿はなく…。


「セイは大丈夫かしら。

研究室のみなさんに

あの子の朝の機嫌の悪さを
ちゃんと理解して貰えると
いいんだけれど」


「……」

ママが
セイのコトを
心配してる、けどッ。


…未成年のセイが
大学の研究室なんかで

徹夜でデータ取りなんて
やらされるワケ
ないじゃないッ。


セイはしっかりしてるし

もう給料だって貰ってる
いっぱしの社会人だから

ついついママ達も
オトナ扱い
しちゃってるけどッ。


親の承諾があっても
まだまだ
結婚だって出来ない年齢で。


「トーコも早く
パパといっしょに
朝ゴハン、食べちゃって」


ママに急かされるまま
テーブルについた。


「今日はね。
朝からお見合いでね。

ママ、とっても忙しいの」


はい?

「美容院の予約。
午前の一番に入れたから」


「ママはね。

パパの同僚に

ボランティア先でいっしょの
オンナノコを
紹介するんだ、って
張り切っててね」


パパの説明で
やっと事情が見えてきた。


「ママが
お見合いを仕切る、の!?」

「そういうコト」

パパは新聞を読みながら

ママのウキウキした様子に
苦笑していて。


…セイがいたら

心配だからついていく、って
言い出しそうだッ。