セイがいたら
この夫婦の会話に
突っ込みたくて
仕方がないだろうな。
セイは白黒はっきり
つけたいタイプだからね。
パパとママに
気を遣いながら
しっかりと
事情聴取をやってそうだッ。
「や〜ねッ。トーコ。
何、含み笑いなんか
してるのッ」
「えッ」
突然、ママに突っ込まれ
動揺するッ。
だけど
「あッ、メザシなんか
食卓に並ぶの
ひさびさだな、と思って」
…私の
逃げ口上と誤魔化しが
上手くなったのは
たぶん
セイの影響だと思われますッ。
「だって
セイがいるときに
メザシなんか
食卓に出せないじゃない?」
…その通りッ。
目玉がないトコロが
目玉を想像させる、って
セイってば
メザシのコト
物凄く忌み嫌っててッ。
こんなモノが
我が家にある、と
わかった時点で
きっと
セイの手によって
こっそりとオーブンで
炭にされるのがオチだった。
「セイがしばらく
外泊するって聞いたから
思わずお隣さんに
分けて貰っちゃったッ♪」
…いてもいなくても
セイの存在感は
圧倒的だった。