もし、私が

セイと姉弟じゃないって
知らずに

そのまま
オトナになっていたら


私はどこかの誰かに嫁いで

いつかは
この家を出る日を
迎えるハズ、だったのかな。


「……」

何かイマイチ

そんな自分の姿が
想像ができないな。


案外、ふたりとも
40すぎても独身で

この家で
ずっと4人で
暮らしてたりして。


姉弟ふたりで
老後を迎えるなんて


さすがにちょっと
想像したくない、かな。



「ごちそうさまでした!」


食べたモノを片づけて
歯を磨いて

学校に行く準備を整える。


いつもだったら

この時間くらいになると
機嫌の悪いセイが

ぬぼ〜っと起きてきて


「おね〜さあん
遊んでかない〜?」


まとわりつくは
うっとおしいはッ。


私の支度を
全力で邪魔しに掛かって
くるのだが。


「……」


静かな朝。

何か障害物がないと
気が抜ける。


「いってきます!」


いつもなら
セイが起きてきて
出掛けるまでに
1時間は掛かる支度に

今朝は10分も
掛からなかった。


いかに

毎朝、セイに
動きを封じられていたか、って
コトだよね。