「……」
私は
ちいさくアタマを下げて
失礼します、と
その場を
後にしようとした。
「ちょっと
アナタッ、失礼じゃなくてッ」
大正ロマンが
私の背中に吠えているッ。
「だから
何のご用なんですか?」
私はゆっくりと
後ろを振り返ると
「本当に
こんなに冴えない子ッ
いったい
どこがよかったんだかッ」
大正ロマンが
ぐしぐし、と
私のホッペを甚振ったッ。
「何するんですかッ!!!」
「…それは
私のセリフだと思うわ!」
「!?」
「最近の女子高生って
こんな純朴そうな顔をして
ずいぶんな発展家ね!」
何故だか私の方が
一方的に
責められているけれどッ。
「…発展家って?」
「嫌な子ねッ!
私にストレートに
言わせたいのッ!」
と、言われましてもッ。
何か悪口だってコトは
容易に想像できますがッ。
「あの方も
こんな子の
いったい何がよくて
夢中になって
らっしゃるのか」
「……」
何が言いたいんだか
よくわかんないけどッ。
どうやら
このヒトは
アタマの中も大正ロマン
しているようで。
…歳はいくつくらい
なんだろう。
シワひとつない
能面みたいな顔で
私を睨んでいるけれど
結構、歳は
いっているのかも…。
「何、じろじろ見ているの!」