カラダのカンケイを
持ったのだから

セイを
自分のモノにできた、とか

思っても
おかしくはないのに。


「服を脱いでSEXはしない」

「ベッドの上では抱かない」


セイに抱かれると

そこに愛がないんだ、って

嫌と言う程
思い知らされてしまう
からなのか。


「あ〜ッ。
アナタってマゾなのッ!?」

どうして
やられっ放しなんだ、って

大正ロマンが
私のカラダを揺さぶってくる。


「……」

前例をひも解いて
考えてみても

このヒトは

セイとは
せいぜい顔見知り程度の
カンケイなんだろうとは

思うけどッ。


「あッ、いたッ!
先生、何してるんですか!」


車のクラクションに
振り返ると


てんとう虫みたいな
まあるいフォルムの
空色の車から

赤いフレームのメガネを
かけた
オタッキーな女性が

運転席から
顔を出していた。


「先生!
編集さんが原稿取りに
きてますよ!」

って。

メガネっこが
大正ロマンに声を掛ける。


”先生”?

”編集さん”?

”原稿”?


…このヒト

マンガ家とか
小説家とか

そういう類いの職業のヒト
なんだろうか。


でも

だとしたら

この社会性のなさも納得で。


アタマの中で
日常的に
妄想を膨らませて
いるんだろう。


「編集なんて
帰しなさいッ!

今、私ッ
大切な仕事中だからッ」


大正ロマンが
メガネっこを
怒鳴りつけてるけど。


…どこが
大切な仕事中、なんだッ。